中村春作他編『「訓読」論』(2)

田尻祐一郎「〈訓読〉問題と古文辞学」より。

徂徠は、二重に「詩書礼楽」から隔てられている。一つは、空間的に日本にいることで、もう一つは、歴史的に古代から遠いことで。しかしそれは、それゆえにこそ、古代中国の「詩書礼楽」との距離を自覚し、その距離を突破すべき方法についての省察を深めていく契機を持てるということでもある。(p249-p250)