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 金森修『バシュラール―科学と詩』(3)

科学は、バシュラールが思っていたような、あるいはそう願っていたような進展を続けることはなく、ある重要な変化を遂げたのである。彼自身が中等教育などの実践を介して比較的密接に科学に関わっていた時期は一九二〇年代である。だがその後の科学は研究の質を変え始める。孤独な天才が周囲の無理解や幾多の困難をものともせず、個人的霊感に忠実に真理発見に邁進するというロマン主義的イメージはその後の科学の実態には徐々にそぐわないものになっていく。膨大な研究資金の必要性、研究プログラムの規模拡大などによって科学研究は研究者個人の手から離れ、巨大化の一途をたどることになる。・・・・・・科学からロマン主義的色彩が徐々に退行していくという事態は、彼のような科学論には結局マイナスに働いたのである。(p277-p278)