アガンベン.G『事物のしるし』(3)

第二章「しるしの理論」。

しるしの理論は、十八世紀末に西洋の学問から消え去ってしまう以前、ルネサンスおよびバロックの時代の学問と呪術に決定的な影響を与えていた。この影響は、ヨハネス・ケプラーやゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツの著作のけっして瑣末ではない部分にまで浸透している。とはいえ、しるしの理論の〈場〉(locus)は、たんに医学と呪術のみだったわけではない。神学の領域でこそ、なかでも秘跡の理論においてこそ、しるしの理論はもっとも意味深い発展をみせた。(p67-p68)