ヴェイユ.S『自由と社会的抑圧』(3)

第2章 抑圧の分析

力の観念は単純からほど遠い。とはいえ、社会問題を措定するにあたり第一に解明すべき観念である。力と抑圧、これは別物である。しかし、まずもって理解すべきは、ある力が抑圧的であるか否かは、力が行使される方法ではなく、力の本質そのものにより決定されるということだ。これをマルクスは国家について明確に看破した。この人間粉砕機がいかなる手にゆだねられても、作動するかぎりは粉砕をやめえぬことを。しかるに、この見解ははるかに一般的な射程を有する。抑圧はひとえに客観的な諸条件から生じる。第一の条件は特権の存在である。そして特権を規定するのは、人間の法律や政令ではなく、不動産登記証書でもない。事物の本質が規定するのである。(p49-p50)