中井久夫『治療文化論』(8)

家庭治療文化がきわめて重要な位置を占める場合の例は、伝統的中国であろう。中国においては、医学は、知識人の学ぶ必須の教養であった……家族は、その後、救助を外部に求めはじめるが、第一に呼ばれるのは伝統的中医、ついで内科医、最後に精神科であって、西洋医学的にはまずまちがいなく早期治療の機を失するという。(p131)