バシュラール.G『夢みる権利』(2)

詩とは瞬間的な形而上学である。短い一遍の詩作品のなかに、それはある宇宙像と魂の秘密、一個の存在者とさまざまの対象とを同時に提出しなければならない。もし詩が単に生以下のものである。それは生の動きを停止させ、喜びと苦しみとの弁証法を即座に生きることによってはじめて生以上のものとなることができる。詩はこのとき本質的同時性の原理であって、そこでは、どんなに散乱した存在、どんなに不揃いの存在もみずからの統一をかちとるのである。(p293)