アガンベン.G『事物のしるし』(1)
- 作者: ジョルジョアガンベン,岡田温司,岡本源太
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/05/11
- メディア: 単行本
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- 作者: Giorgio Agamben,Anton Schuetz
- 出版社/メーカー: Suhrkamp Verlag Gmbh
- 発売日: 2009/11
- メディア: ペーパーバック
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第一章「パラダイムとは何か」。
クーンがルドヴィク・フレックにおける〈思考様式〉(Denkstil)の概念――これは〈思考集合体〉(Denkkollectiv)の内部に関与するものとしないものを定義する――を発展させることで問題にしたのは、通常科学の構成を可能にするものをパラダイムを通して検討すること、つまり、共同体が科学的だと考えるべき問題とそうでない問題とを決定することだった。その意味では、通常科学が意味しているのは、厳密で一貫した規則の体系に統制された科学のことではない。……パラダイムとは、たんに一つの範例であり、個別の事例なのである。それは反復可能性を通して、科学者たちの研究の活動と実践をひそかに制御する能力を獲得する。このように、科学性の準則としての規則の帝国のあとを、パラダイムの帝国が引き継ぎ、法則の普遍的な論理のあとを、特殊で単独の範例の論理が引き継ぐのである。そして、ある古いパラダイムが、ある通約不可能な新しいパラダイムに取って代わられるとき、クーンが科学革命と呼ぶものが生じることになる。(p17)