浅野俊哉『スピノザ―共同性のポリティクス』(2)

しかし、何といっも、『エチカ』の偉大なところは、そのような意味での善を人が試みようとする際に、それに対する障害や、抵抗となる心的要素を決して過小評価しなかった点にある。彼は、「感情の本性や力について、また諸感情を導く際に、精神が何をなし得るか」を知るため、感情を概念的な把握に値する一定の破壊を備えている」対象として、極めて重視している。(p43)