バシュラール.G『夢想の詩学』(3)

四十年におよぶわたしの哲学者としての生活で、哲学はデカルトのコギト・エルゴ・スム[われ思う、ゆえにわれ在り]をくりかえし新しい出発点としたということを聞いている。わたし自身もまたこの初心の教訓を表明すべきなのだ。思考の秩序にしたがえばこれはきわめて明快な標語である。……かれにとって、思考、意欲、愛、夢、これはつねにその精神の活動だからである。かれは情熱をもち英知をもつのは自分であり、まさしく自分であり、他ならぬ自分なのだということを信じきっていた幸福な男だったのである。(p45)