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バシュラール.G『蝋燭の〓』(2)

まったく、ひとりのままでは、いったいどうやって意識の冒険を知るのか。自分自身の深淵に降りてゆくことによってひとは意識の冒険を見出すのだろうか。いくたびとなく私は、私の「版画」のひとつのうちに生きながら、自分の孤独を深めているのだと信じた。存在のきざはしを螺旋状に一段一段降りていっているのだと信じた。けれども、こうした下降にあって、自分が考えていると思いながら実は夢想していたのだということがいま私にはわかる。存在は下の方にあるのではない。それは上の方、つねに上の方――まさに働きつつある孤独な思考のなかにこそあるのだ。それゆえ、白紙のページを前にして、意識の溢れる若さのうちに蘇るためには、古いイマージュ、色褪せたイマージュの明暗に闇をもう少し余計に注ぎ入れなければならない。その一方、版画師そのものを刻み直すこと――毎夜、ランプの孤独のうちにある孤独者の存在そのものを刻み直すこと、要するに、原初存在の姿においてすべてを見、すべてを考え、すべてをいい、すべてを書かなければならないだろう。(pp153-pp154)