マラブー.C『わたしたちの脳をどうするか』(8)

人間は自分自身の脳をつくり出す、そうしていることを知らないままに。わたしたちは脳の可塑性について何も知らないでいる。逆に、ある種の労働の組織化――パートタイム、仮契約、機動性や完全な順応性の要求……等等ーーについては、何ひとつ知らないことはない。脳はわたしたちの作品である、だがわたしたちはそのことを知らない。……いまや個人はみずからの生をひとつの作品のように構築するのであり、自分自身をどうしていくのかを知るのは自分の責任であって、そのためにはけっして融通の利かない人間であってはならないということをわたしたちはよく知っている。したがって、ある意味では、政治的・社会的働きのニューロン的形態――現在の資本主義の相貌とひそかに一致している形態――を日常でじかに経験するのに、ニューロサイエンスの領域における目下の発見の諸成果を知る必要はまったくないのだ。(p19-p20)