ドゥルーズ.G『フーコー』(5)

「地層、あるいは歴史的形成物」より。

私たちは、どのようにしてフーコーが、言表についての実に独創的な概念のうちに、表現の形態を発見したのかをみた。言表はシニフィアンのシステムよりは、はるかに音楽に近い斜線をしるしながら、様々な単位と交錯する機能なのである。だから、レーモン・ルーセルが独特の「方式」を発明して試みたように、言表を抽出するためには、語や、文や、命題を引き裂き、切開しなければならない。しかし、内容の形態についても同様の工作が必要となる。内容は物の状態ではなく、指示対象でもない。可視性は、視覚的要素あるいはもっと一般的にいう感覚的要素、性質、物、対象、対象の組み合せなどと同じものではない。フーコーは、この点で言表の機能と同じように独創的な機能を確立する。物を引き裂き、打ち砕かなければならない。可視性は対象の形態ではなく、光や物に触れるとき明らかになる形態でさえない。それは光そのものによって作り出される光度(luminosité)の形態であって、この形態は物や対象を、ただ稲妻、きらめき、輝きとしてだけ存在させるのだ。(p99-p100)