大宮勘一郎『ベンヤミンの通行路』(5)

つまりこの「岩」は、人為による建造物たるたる都市が、本来ならば空や海、さらには陸の自然的地形と区別されるはずの、その界面の「形状」として、要するに「都市のかたち」として、見出だされている。この地において建てるとは、建-立であるよりもむしろ穿-孔であって、このために、穿たれるされている。穿たれる岩のかたちとなる。この地において建てるとは本来ならば空や海、さらには、陸の自然的地形と区別されるはずの、その界面の「形状」として、要するに「都市のかたち」として、見出だされている。この地において建てるとは、建-立であるよりもむしろ穿-孔であって、このために、孔穿たれた岩こそは都市ナポリの原像なのである。(p28)