バウマン.Z『アイデンティティ』(7)

人間の条件には、一回限りの形で与えられるものもなければ、要求や改善の権利を与えられていないものもないという考え方――最初に「作られる」必要があるものはすべて、いったん作られた後でも絶えず変更できるという考え方――は、近代の初めから生まれていました。事実、たゆまぬ変化(「近代化」、「進歩」、「改良」、「発達」、「更新」などさまざまな呼ばれ方をしました)こそ、近代のあり方の核心です。いったん「近代化すること」を止め、自分の手を下ろして、自分がおかれた状態や、自分の周りの世界をいじくり回すのを止めたら、「近代的」であることを止めることになります。(p129)