スピノザ.B.D『知性改善論』(6)

一体記憶とは何であろうか。それはほかでもない、脳における印象の感覚がその感覚の一定持続の意識と結びついたものである。これと同じことが想起の場合にも見られる。なぜなら、想起にあっても精神はこうした感覚を意識するから。しかしそれは間断のない持続においてではない。このようにして、この感覚の観念〔想起〕は感覚の持続そのものとは異なる、すなわち記憶そのものとは異なるのである。(p68)