スピノザ.B.D『知性改善論』(2)

ここでちょっと簡単に、私が真の善をどう解するか、また同時に、最高の善とは何かを語りたい。これを正しく理解するためには、次のことに注意しなければならない。すなわち善いとか悪いとかはただ相対的にのみ言われるのであり、従って同一事物でも異なった関係に応じては善いとも悪いとも呼ばれ得るということである。これは完全だとか不完全だとかいうことと同様である。実際、どんなものも、その本性において見れば、完全だとも不完全だとも言われないであろう。特に、生起する一切のものは永遠の秩序に従い、一定の自然法則に由って生起することを我々が知るであろう後は。(p17)