2013-12-22から1日間の記事一覧

アガンベン.G『例外状態』(1)

例外状態 作者: ジョルジョアガンベン,Giorgio Agamben,上村忠男,中村勝己 出版社/メーカー: 未来社 発売日: 2007/10 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 23回 この商品を含むブログ (26件) を見る Lo stato di eccezione 作者: Giorgio Agamben 出版社/…

アガンベン.G『例外状態』(2)

本研究では、「例外状態」(stato di eccezione)という語句を、それについての定義の提唱がなされる法的諸現象の一貫した総体を指すための専門用語として使用するだろう。……もし用語法が思考のまさに詩的な契機であるとするならば、用語の選択はけっして中…

アガンベン.G『例外状態』(3)

しばしば例外状態を特徴づける言葉として用いられる「全権」(pleins pouvoirs)という表現は、統治の諸権限の拡張に、そしてとりわけ法律-の-力をもった政令を布告する権限を執行部に付与することに関連している。この表現は、近代公法の用語体系にとって…

アガンベン.G『例外状態』(4)

例外状態の問題はレジスタンスの権利と問題と明らかな類似を呈している。とりわけさまざまな憲法制定議会の場では、憲法の条文にレジスタンスの権利を盛り込むことが適切か否かをめぐって、多くの議論がなされた。現行イタリア憲法の草案には、次のような条…

アガンベン.G『例外状態』(5)

まずもっては、用語上のいくつかの指摘をしておきたい。一九二一年の著作〔『独裁』〕においては、例外状態は独裁という形象によって提示されていた。しかしながら、自らのうちに戒厳状態を含むこの形象は、本質からして「例外状態」なのである。そして、「…

アガンベン.G『例外状態』(6)

このようにひとつの外部を法のうちに書きこむ操作をしているのは、『独裁』においては、委任独裁にとっての法規範と法実現(Rechtsverwirklichung)規範とのあいだの区別であり、主権独裁にとっての自らの憲法へと構成する権力と憲法へと構成された権力との…

アガンベン.G『例外状態』(7)

『政治神学』においては、例外状態を法秩序のうちに書きこむ操作をしているのは、法の二つの基本的要素のあいだの区別、すなわち規範(Norm)と決定(Entscheidung,Dezision)とのあいだの区別でもある。例外状態は、規範を停止することで、「決定という特殊…

アガンベン.G『例外状態』(8)

例外状態をめぐってのベンヤミン=シュミット関係書類における決定的な文書は、まちがいなく、ベンヤミンによってその死のわずか数ヶ月前に作成された歴史の概念についての第八テーゼである。そこには次のように書かれている。「被抑圧者の伝統はわたしたち…

アガンベン.G『例外状態』(9)

この光に照らして王の二つの身体についてのエルンスト・カントローヴィチの理論〔『王の二つの身体』(一九五九年)〕を再読し、いくつかの訂正をほどこしておくべきだろう。カントローヴィチは、彼がイギリスとフランスの君主政体のために復元しようと努め…

アガンベン.G『例外状態』(10)

この調査――「わたしたちがそのなかに生きている」例外状態という緊急性のただなかにあっての――目的は、わたしたちの時代の第一級の支配の奥義(arcanum imperii)を管轄している擬制を明るみに出すことだった。権力の「玉手箱」(arca)がその中心に内包して…