テッサ・モーリス・スズキ『北朝鮮へのエクソダス』(1)

 

北朝鮮へのエクソダス 「帰国事業」の影をたどる (朝日文庫)

北朝鮮へのエクソダス 「帰国事業」の影をたどる (朝日文庫)

 

 これは偶然の旅についての本である。申鐘海や朝日のような人たちの物語を尋ねる旅についての本。一九五九年十二月十七日の夜に東京の品川駅から新潟港まで旅した三百六十二人の人たちの物語を、一九五九年十二月二十一日に北朝鮮の清津(チョンジン)に向けて新潟を出航した九百七十六人の人たちの物語を、一九五九年十二月の帰国運動開始から一九八四年の終了までの期間に、北朝鮮での新しい生活をめざして日本から帰国した九万三千三百四十人の物語を、探求する旅の本である。(p25-p26)