再び、思想史と文学史をめぐる雑感について

『リポート笠間』最新号届きました。仙台の日本思想史学会のシンポジウム記を、井上泰至先生が対談形式でお答えになっています。僕はその場にいましたし、ブログの記事でも参加記として書いたので、繰り返すことはしません。

http://n-shikata.hatenablog.com/entry/2013/10/27/004731

 とりわけ、僕が研究している江戸思想史の分野に限れば、実は江戸文学をめぐる動向をめぐり、江戸思想史研究者は、これまでそれを射程に入れてなかったことが挙げられるかと思います。その齟齬がシンポジウムでも明るみに出た気もしました。

それを突き詰めると、江戸文学研究の研究成果そのものは、江戸思想史研究者たちからすれば、あくまでも「傍証」にしかならない、という意識もあったのではないか、と感じています。

僕は、自分自身が選んだ研究テーマ上、歴史学の研究にも目を通しますが、圧倒的に分量として読みこなすことが多いのが、江戸文学の研究成果です。その意味で江戸文学研究者からも、様々な学問的示唆を書物を通して受けました。その中でも、宇佐美喜三八先生や中村幸彦先生は、今でも尊敬しております。      

そのうえで、リポート笠間の最新号については、思想史研究者の方が誰か一人でも、対談に交えた形にすれば、双方の研究分野が抱えている問題点も浮き彫りになったのではないか、という読後感を抱きました。

今回のように、学会のシンポジウムだけで終わるのではなく、インターネット媒体でもいいので、人と学問が交差しあうような、新しい舞台作りをどこかで作れば、実りあることが、もっとできるのではないか、と感じた次第です。