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オリオン・クラウタウ『近代日本思想としての仏教史学』(1)

近代日本思想としての仏教史学

近代日本思想としての仏教史学

 

そもそも「近世は仏教衰微の時代」という言説は――事実としての是非は別として――明治初期の廃仏毀釈を経た仏教集団が、近世のアンチテーゼ、すなわち「衰微」せざる近代仏教として再出発するために生み出されたものであった。そしてこの「宗教界」から発信された言説は、やがて「学界」に入り込み、「科学」的な知識や検証によって補強されていったのである。「宗教者」によって繰り返し糾弾されたために社会的通念となった「近世僧侶の堕落」は、「科学者」によって述べられると、「学知」としての力を得て、より広範な影響力を有するものとなったのである。(p249)