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 隠岐さや香『科学アカデミーと「有用な科学」』(2)

同。

商業・経済力競争という点について述べると、主要なライバルおよびモデルとして常に意識されたのは英国であった。ただし十八世紀中頃における英国の経済的インパクトは、今日知られる産業革命やそこで培われた工業技術力によるものではなく、同国を小麦の大輸出国ならしめた農業技術や、ロンドンのニューリバー運河建設にもみられた質の高い土木建設技術などを通じたものであることに留意する必要がある。すなわち、英国がフランスにとって主要なモデルになりえたとすれば、それは今日の我々がすぐに思い浮かべる科学・技術の先進国に手本を求めるという発想よりも、既存の体制や技術を改良し、よりよく配置して繁栄することに成功した商業国としての英国に対する関心に基づいていた。(p99)