ハンガリーの窮状と危機にかんする声明(転載)

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この声明に関しては署名活動もしています。

以下転載していただきます。

ハンガリーの窮状と危機にかんする声明

私達は、「体制転換」以後の貴国の状況を希望と憂慮とをもって見つめて参りましたが、昨年4月の政権交代以降、ハンガリー社会に生じている事態、とりわけ「メディア法」の制定と施行には、きわめて強い危惧を抱いています。
特に、ヘラー教授、ヴァイダ教授、ラドノーティ教授等、「メディア法」に対して批判的な意見を表明したハンガリーの哲学者たちが「リベラル=ユダヤ系」と特定され、研究資金の不正使用との嫌疑で告発されています。疑惑は厳正な調査によって究明され、公正に判定されるほかありません。デモクラシー的寛容の精神のもとに、真実が明らかにされるよう希望します。
また、私達は「ルカーチ・アルヒーフ」の将来にも強い関心を抱いています。この日本においてルカーチは、文芸理論家、哲学者、美学者そして政治家としてはやくも1920年代から知られており、彼の著作の日本語訳は通算50冊を越えています。日本語版『ルカーチ著作集』全14巻の出版といった実績もあります。彼の業績あるいは功罪については、前世紀の諸思想と比較するなかで、まさに「歴史の審判」に委ねられ、そして厳密な学術的検証によって明らかにされるべきであり、そのためにもルカーチ・アルヒーフの存続と自由な研究活動が保証されることを願います。

以上の声明文について、○○名の賛同署名を得たうえで、これを貴下に送付致します。私達は貴国の窮状を深く理解するとともに、以上のような状況を憂慮するものです。日本の心ある人々にとってハンガリーとは、ペテーフィ、アディとアティッラ・ヨージェフ達の詩人の国、バルトークコダーイ達の音楽の国であると等しく、ルカーチとその弟子達「ブダペスト学派」の国でもあります。そうしたハンガリーの、そしてハンガリー国民の良き伝統にふさわしい措置が執られることを求めます。

北海道大学教授 高幤 秀知
金沢大学名誉教授 丸山 珪一
一橋大学准教授 大河内 泰樹