『新しい貧困』(4)

やがて、市場競争に翻弄される気まぐれな雇用条件が、市民の将来の不確実性と、彼らを苦しめる社会的立場や自尊心の不安定さの主要な源泉となり、現在もその状態が続いている。社会国家が、雇用を安定させ、将来をより確実なものとすることで、その成員の保護に着手したのは、主として、この不確実性に対してであった。しかし、すでに議論した理由によって、もはやそれも現実にそぐわなくなった。現代国家は社会国家の約束を果たすことができず、政治家たちも、もはや熱を込めてその約束を繰り返そうとしなくなった。代わりに、彼らの政策は、もっと不安定でリスクに満ちた生活の予兆となっており、長期計画を立てながらも、ほとんど不可能である「全体的な生活」には触れない、「瀬戸際外交」を公約に掲げており、有権者に向かって、「もっとフレキシブルに」(つまり、将来のさらなる不安定さを備えるように)と説き、社会的に生み出された問題を自助努力で解決するよう求めている。(p190-p191)