ガタリ.F『分裂分析的地図作成法』(1)

分裂分析的地図作成法

分裂分析的地図作成法

いまここで明確に述べるのはたいへん難しいのだが、主体的なリトルネロ、自己同一性を示すための記章、移行対象、あらゆる性質のフェティシュなどの、雑多な寄せ集めとまでとは言わないまでも、まったく異質な要素から引き出されてくる。存在のもろもろの様態がこのように横断的につながるときに明確になるものは、特異化のもろもろの線――1種の実存的刻印――なのであり、それらは事実の状態や、それらの状態を指向する相関物や、それらに対応する言表作用のアジャンスマンに日付を書き入れ、出来事化し、《偶然化》する。この強度的な線は、実存を特異化し横断化するという二重の能力を持つ。つまり一方では実存に局所的な恒立性を与え、他方では実存に横断主義的な共立性――を与える。この能力は、言説的な認識という理性的な方法によってでは完全には把握できない。この能力は、情動の次元における理解を通してのみ、すなわち包括的で転移的な理解によってのみ与えられる。(pp13-pp14)