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中井久夫『治療文化論』(3)

エランベルジェ(エレンベルガー)は一八世紀に消滅したヨーロッパの精神病として「郷愁病」、「恋愛病」をあげている。……しかし「郷愁病」と「恋愛病」は、病いとしての資格を西欧において失ってしまった。蛇足を付け加えると、今日の西欧精神医学における用法では、恋愛妄想ということばは「愛されている」という観念に関するもので、「愛している」という観念は精神医学の関与しないものである。「愛する」という行為は、もっとも妄想との境界が不鮮明である。あるいはないかもしれず、この辺はまじめに考えてもはかない。(p29-p30)