ショーペンハウアー.A『孤独と人生』(1)

孤独と人生 (白水uブックス)

孤独と人生 (白水uブックス)

Aphorismen zur Lebensweisheit

Aphorismen zur Lebensweisheit

人はだれも、おのれの皮膚に包まれているように、おのれの意識のなかに身をひそめている。そしておのれの意識のなかだけで直接生きているために、外からこの人をどうかしようとしてもあまり助けにはならない。……内部では、つまりこうした現象の中核では、すべてのものに同じものが、つまり苦労はてないあわれな喜劇作家俳優がひそんでいる。生もこうしたものだ。位階や富の区別は各人にそれぞれが演じる役割を与える。そうかといって、人間の幸福や快感の内的区別はこうした位階や富の区別にそのままあてはまるものではない。この点にも苦労はてない愚かさがひそんでいる。人間の苦しみや悩みは、そのきっかけについては人によってちがっているけれども、形式面では、つまり本質的なもととなる面ではだれでもほとんど同じである。(p13)