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 ショーペンハウアー.A『孤独と人生』(4)

まずあらゆる社会はかならずおたがいに順応し調節しあうことを要求する。したがってその社会が大きくなればなるほど、それだけますます気のぬけたものになってくる。なんぴとも完全におのれ自身であることが許されるのは、その人が一人でいるときだけである。したがって孤独を愛さないものは、自由をも愛していない。強制はあらゆる社会と切り離すことのできない同伴者である。またいかなる社会でも犠牲を求めるが、これは個性が強い人ほど耐えがたいものとなる。こうした事情から、だれしもおのれ自身にどのくらいの価値をおいているかということと正確な割合で孤独から逃げ、あるいは孤独に耐え、もしくは孤独を愛するようになる。なぜなら、孤独のなかで哀れな人間は自分の完全な哀れさを、偉大なる精神の持主はおのれのすべての偉大さを、一口に言えば、だれしもおのれの本質を痛感するからである。(p193)