ハラウェイ.D『猿と女とサイボーグ』(3)

女性に対して伝統的に割り当てられてきた自然な存在としての対象という地位に対して、我々は、イデオロギーにおいて、自然なるものに対してアンチの立場をとることによって挑戦してきた。しかし、その一方で、そうしたやり方をとってきたがゆえに、フェミニズムのニーズがライフサイエンスに影響を及ぼすこともなかった。我々は、科学にフェテッシュ――創造に際しての自らが担った役割を忘れるためにのみ人が創出する対象――の役割を与えてしまい、社会と生物のニーズを満足させるために、人間とその周囲の世界との間で相互にかわされる弁証法的なやりとりに対して呼応することをやめてしまった。(p26-p27)