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 安藤礼二『神々の闘争 折口信夫論』(1)

神々の闘争 折口信夫論

神々の闘争 折口信夫論

折口にとって言語の「象徴性」があらわになるのは、言語が単なる意味の伝達を離れて、直接的に、ただ新たな意味を生成させる純粋な機能としてのみ考察されたときである。定義上、言語というものは人と人のあいだに意味を伝達する道具であり、そのために「間接性」を余儀なくされている。しかし、言語を創造の面から考察するとき、それでは不充分なのである。表現する言語とは、間接性を離れて、「直接性」の領域に入る。そうでなければ、言語による新たな世界の創造、言語芸術は不可能になってしまうであろう。折口が「言語情調論」を書いた大きな動機の一つは、自らの創作、自らの言葉の実践に密接に結びついたものだった。和歌をつくるとは一体どのような出来事であるのか、そしてそのとき言葉はどのような機能を果たすのか、といった。(pp61〜pp62)