安藤礼二『神々の闘争 折口信夫論』(3)

折口は篤胤によってキリスト教化された、この「神道」をさらに純粋に一神教化したのである。折口は、篤胤のなかでは相対立していた「造化神」と「幽冥神」という彼岸の二元論に関して、死後の審判を司る「大国主神」という概念を捨て去り、「造化神」のみを自らのうちに採用している。そしてさらに、天御中主、高皇産霊神、神皇産霊神といった三位一体からなるこの「造化三神」(村岡は篤胤のこの「三位一体」という概念はキリスト教の影響ではなく、宣長説の純化であるとしている)の働きを、「産霊」の神に一元化したのである。ここに、折口信夫によって、一神教化した「神道」の神概念が十全に確立することになったのである。(pp227〜pp228)