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 バフチン.M『バフチン言語論入門』(5)

人間文化で音声言語が登場した段階は魔術的段階とよばれる。ここで、あらゆる音声言語のそもそもの基礎である基本的言語要素が仕立てられていった。これはまだ現代的な語義での言葉ではないし、音による指し示しでもなく、何らかの現象・現象群の記号でもな…

 バフチン.M『バフチン言語論入門』(4)

言語の本質や、社会生活における言語の位置と使途を理解せずして、芸術のことばの文体論と呼ぶもの、つまり、文学作品の構成技術そのもの正しくアプローチすることはけっしてできない。浅薄な素人好事家ではなく、おのが芸術の名匠とならんと欲するなら、作…

 バフチン.M『バフチン言語論入門』(3)

他者の異言語の言葉に向かっての言語学や言語哲学の定位は、言語学や哲学の側からすれば偶然でもなければ根拠のないことでもない。そうではなく、この定位は、他者の言葉が歴史上のあらゆる文化を創造してゆく過程において演じた巨大な歴史的役割の表現なの…

 バフチン.M『バフチン言語論入門』(2)

詩的作品は、事物や身近な環境の出来事を自明のものとみなして、それらに立脚するようなことはできず、それらにたいするひとつの暗示すら発話の言語的部分に導入したりはしない。この点では、もちろん、文学における言葉にはるかに大きな要求が課せられてい…

 バフチン.M『バフチン言語論入門』(1)

バフチン言語論入門作者: ミハイルバフチン,Mikhail Mikhailovich Bakhtin,桑野隆,小林潔出版社/メーカー: せりか書房発売日: 2002/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (1件) を見る 「形式的方法」にとって詩的作品とは、形式…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(7)

ヤーコブソンをはじめとするモスクワ言語学サークルの者たちは、おそらくは言語学の拡張あるいは言語学的詩学の確立に重点をおいていたためと推されるが、前記のように、「異化」を言語のレベルに限定する傾向にあったものの、シクロフスキイのこういった「…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(6)

ボガトゥイリョフ(バフチン)の記号論が、すぐれて動的であり、一見不動に見える伝統のなかに即興性を剔出してゆくのも、畢竟、それは、その記号論が「広場」の思想のなかで生を受けたがゆえにほかならない。あるいはまたムカジョフスキイの著作がすでに示す…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(5)

「メイエルホリドを信奉する」ブリアンの勧めでまとめる気になったという、ボガトゥイリョフのこの著作が、当時ソ連において博士論文と認められたのは、いまからおもえばまことに奇妙であるが、なにかの「手違い」の可能性が多分にある。……この博士号授与が…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(2)

今日、他者にたいする無関心ぶり、冷淡さには深刻なものがあるが、バフチンにいわしむれば、元来、人間の生も死も、ひとりでは意味づけようがない。「有意味な孤独」というのは形容矛盾である。人間のいかなる出来事にも〈他者〉が不可欠である。それが必要…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(1)

未完のポリフォニー―バフチンとロシア・アヴァンギャルド (ポイエーシス叢書)作者: 桑野隆出版社/メーカー: 未来社発売日: 1990/08メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る バフチンのいう〈対話〉は、円満な「妥結」を図ったり、最終的な…

 北岡誠司『バフチン』(5)

つまり言語こそ「対話性の汲みつくしえない源泉」である。それというのも「言葉の内的対話性は、言語が階層分化したことの必然の同伴者であり、混質雑多な言説の多様な志向が言語のうちに移住した結果」だからである。したがって作家はこうした「散文的な二…

 北岡誠司『バフチン』(4)

権威の言葉は、政治権力・制度・個人といった権威と、不可分に癒着している。そこでこの権威とともに立ち、この権威とともに倒れる。(p202)

 北岡誠司『バフチン』(3)

バフチンは結論として、ドストエフスキーの世界は、ドストエフスキー論の先達B・エンゲルカリトが時間を基軸にして想定したような、ヘーゲル風の「単一の精神が生成・発展する諸段階」から成る世界ではない。「多種多様な精神が共存し相互作用しあう」世界…

 北岡誠司『バフチン』(2)

「どんなひとつの身振りのうちにも、自信と自信のなさ」を同時に感知しようとする。つまりドフトエフスキーは「あらゆる現象のうちにその根深い両義性」を感じとろうとする、という。しかもこの“両義性感覚”も、空間優位・時間的劣位の志向と関連づける。ド…

 北岡誠司『バフチン』(1)

バフチン―対話とカーニヴァル (現代思想の冒険者たち)作者: 北岡誠司出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 『小説の時空間』は、「時空間」(クロノトポス)なる用語・概念にかなり詳細な定義を与えてい…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(4)

このような試みを芸術の周縁とみるか、芸術概念の変革とみるかは、もはや判断する側の芸術観によることになろう。……しかしその反面、ロシアのアヴァンギャルドが同時代の他の国々のアヴァンギャルドに比して今日ひときわ注目をあびる価値があるとすれば、そ…

 桑野隆『未完のポリフォニー』(3)

十月革命をはさむ数十年間のロシアの芸術、文化に対する関心は、ますます高まってきている。……このようにあげていけばおよそ際限がないかのように思える多産で燦たる世界が、ロシアにもあった。これらを総称して、ふつう「ロシア・アバンギャルド(芸術)」と…