キルケゴール

 デ・リーヴス.H『暴力と証し』(4)

キルケゴールの論理である〈知性の供犠〉とは、殉教の死という〈知性の供犠〉、〈自らに(ある種の)死を与えること〉という〈知性の供犠〉である。同様に、絶望、証し、殉教は、直接的に、〈死〉や〈死に至る病〉に関係しており、その療法は信仰の中に(あるい…

 デ・ヴリース.H 『暴力と証し』(1)

暴力と証し―キルケゴール的省察 (暴力論叢書 4)作者: ヘント・デヴリース,Hent de Vries,河合孝昭出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2009/05メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る 「暴力」のこの別の意味とは何であろうか。それは…

コーリー.О『キルケゴール』(2)

無垢の状態にあって、永遠的なものと時間的なものとが「永遠の現在」のうちで合わさるわけではあるが、そうだとするとこの両者は、瞬間が関係の表現のあるような関係の措定を貫いてはじめて実質的な総合のうちに入ってくることになる。……瞬間とは総合そのも…

 デ・ヴリース.H 『暴力と証し』(3)

キルケゴールは次のことを明確にする。この不条理、この「可能的なもの」は、「悟性に固有な領域の中にある諸々の区別に馴染むものではない。この不条理は、ありそうにないこと、予期されざるもの、不測のことといったことどもと同一ではないのである」。そ…

 コーリー.О『キルケゴール』(1)

キルケゴール (文庫クセジュ)作者: オリヴィエコーリー,Olivier Couly,村上恭一,小林正巳出版社/メーカー: 白水社発売日: 1995/01メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 「私に本当に欠けているのは、私は何をなすべきか」というこ…

 キルケゴール.S『反復』

反復 (岩波文庫)作者: S.キルケゴール,Soren Kierkegaard,桝田啓三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1983/06メディア: 文庫 クリック: 26回この商品を含むブログ (10件) を見る ところが、人生は反復であり、そして反復こそ人生の美しさであることを理解…

 キルケゴール.S『現代の批判』(2)

公衆は、ひとつの国民でも、ひとつの世代でも、ひとつの同時代でも、ひとつの社会でも、この特定の人々でもない。これらはすべて、具体的なものであってこそ、その本来の姿で存在するのだからである。まったく、公衆に属する人はだれ一人、それらのものとほ…

 デ・ヴリース.H 『暴力と証し』(2)

それではわれわれは、どこから暴力が始まり、滞留し、終わるのか、そして暴力がまさに何に(あるいは誰に)向けられているのかということを正確に知っているのだろうか。それはカント的意味での〈理性の事実Faktum〉なのであろうか。それは例えば「生の事実」…

 キルケゴール.S『不安の概念』(1)

不安の概念 (岩波文庫)作者: キェルケゴール,斎藤信治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/07/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 44回この商品を含むブログ (14件) を見る 無垢は無知である。無垢においては人間は精神として規定せられているのではな…

 キルケゴール.S『死に至る病』(4)

かくて彼は絶望する、というのは、奇妙な顛倒と完全な自己欺瞞によって、彼はそれを絶望と名づけるのである。けれども絶望とは永遠的なるものを喪失することである、ーー彼はこの喪失について語ることをしない、いなこの喪失のことなど夢想だにしないのであ…

 キルケゴール.S『死に至る病』(3)

自己は無限性と有限性との意識的な綜合であり、自己自身に関係するところの綜合である。自己の課題は自己自身となるにある、ーーこれは神への関係を通じてのみ実現せられうるのである。ところで自己自身となるというのは具体的になることの謂いである。だが…

 キルケゴール.S『死に至る病』(2)

「死に至る病」というこの概念は特別の意義のものと考えられなければならない。普通にはそれはその終局と結末とが死であるような病の謂いである。そこでひとは致命的な病のことを死に至る病と呼んでいる。こういう意味では絶望は決して死に至る病とは呼ばれ…

 キルケゴール.S『現代の批判』(1)

現代の批判―他一篇 (岩波文庫 青 635-4)作者: セーレン・キルケゴール,桝田啓三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1981/02/16メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 革命時代は本質的に情熱的である。したがってそこには作法の概…

 キルケゴール.S『不安の概念』(4)

内面性・確信が真剣さである。これは些か見すぼらしく思われる。もしも私が、真剣さは主観性である、純粋な主観性である、普遍的な主観性である、とでもいったとしたら、私は必ずや多くの人を真剣にするでもあろう何事かを言ったことになるであろう。ところ…

 キルケゴール.S『不安の概念』(3)

瞬間はいかなる過去的なるものをも未来的なるものをももたぬところの現在的なるものそのものを意味している。まさしくこの点に感性生活の不完全性が存している。永遠もまたいかなる過去的なるものをも未来的なるものをももたぬところの現在的なるものである…

 キルケゴール.S『不安の概念』(2)

精神は自己自身から脱け出ることはできない、しかしまた精神は、それが自己自身を自己自身の外にもっている限りにおいて、自己自身を捉えることもできないのである。人間は植物の世界に沈降することもできない、なぜなら彼は不安を愛しているのだから。しか…

 キルケゴール.S『死に至る病』(1)

死に至る病 (岩波文庫)作者: キェルケゴール,斎藤信治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1957/01メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 95回この商品を含むブログ (103件) を見る そこで絶望が全然根扱ぎにされた場合の自己の状態を叙述する定式はこうである、―…