2013-07-28から1日間の記事一覧

オリオン・クラウタウ『近代日本思想としての仏教史学』(2)

辻が提示した近世仏教像は、仏教が新たな時代に適応するために僧侶が拠らざるべき事柄、採らざるべき態度、なさざるべき行為であったとも言える。近代と一致しないと考えられた近世仏教像を、辻が体系的に描いた背景には、彼の同時代の僧侶に対する厳しい批…

オリオン・クラウタウ『近代日本思想としての仏教史学』(1)

近代日本思想としての仏教史学作者: オリオンクラウタウ,Orion Klautau出版社/メーカー: 法藏館発売日: 2012/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る そもそも「近世は仏教衰微の時代」という言説は――事実としての是非は別として――明治初期の廃仏毀釈…

いまのところの予習では

現在は、「近世仏教堕落史観」へのアンチテーゼとして、70年代半ばに提出された近世浄土真宗=特殊論は、現在見直しが進められているけど、幕末護法思想における主要論者たちは、浄土真宗の僧侶がほとんど。 逆に言えば、他の宗派の僧侶たちは、浄土真宗のよ…

柏原祐泉「護法思想と庶民教化」

日本思想大系〈57〉近世仏教の思想 (1973年)出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1973メディア: ?この商品を含むブログを見る 柏原祐泉「護法思想と庶民教化」、解説、pp533-pp556。から抜粋。 排仏論は倫理的立場、人間主義的立場、経済的立場、科学的立場、…

児玉識『近世真宗の展開過程』(3)

確かに、近世仏教が中世仏教に比べて思想・機構両面において著しく固定化し、社会に対する影響力を弱め、各宗派ともその独自性を稀薄化したことは論をまたないところであるが、しかし、近世仏教内で各宗を比較した場合、真宗が最も強固に独自の信仰形態を保…