2012-10-07から1日間の記事一覧

 佐藤慎一『近代中国の知識人と文明』(4)

それゆえ、天安門事件に先行して行った民主化運動は、単に中国共産党の独裁を批判する政治運動というだけでなく、知識人の復権を求める社会運動でもあった。そして、知識人の復権を正当化するために、「五四精神の復活」というスローガンが用いられた。この…

 佐藤慎一『近代中国の知識人と文明』(3)

中華人民共和国において、知識人は「知識分子」と呼ばれる。それは主として学歴を基準とした概念であって、「労働者階級」や「農民階級」と異なり、格別の社会的価値を内包した概念ではない。そもそも毛沢東思想のもとで大衆路線を掲げる中国共産党にとって…

 佐藤慎一『近代中国の知識人と文明』(2)

旧体制の中国において、支配者と被支配者を分かつ指標は文化能力と道徳能力の有無であり、支配の本質は、有徳者による民の教化であると観念されていた。皇帝を補翼して民の教化に当たる官僚は、それにふさわしい文化能力と道徳能力を持たなくてはならない。…

 佐藤慎一『近代中国の知識人と文明』(1)

近代中国の知識人と文明作者: 佐藤慎一出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1996/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 旧体制の中国において、官僚になることができるのは、原則として学問を修めた者に限られていた。また、大部分の者…