2011-01-23から1日間の記事一覧

バウマン.Z『アイデンティティ』(8)

近代の歴史は、人間が思いのままに変更し、人間のニーズや欲望にあったものに「改良」できるものの限界をさらに押し広げる、持続的な取り組みの歴史でした(そしてそれは今日も変わりません)。それは、無効にされ、完全に放棄されるまでの究極の限界に挑む…

バウマン.Z『アイデンティティ』(7)

人間の条件には、一回限りの形で与えられるものもなければ、要求や改善の権利を与えられていないものもないという考え方――最初に「作られる」必要があるものはすべて、いったん作られた後でも絶えず変更できるという考え方――は、近代の初めから生まれていま…

バウマン.Z『アイデンティティ』(6)

もっとも広範にまた熱烈に望まれている目標が、領土、もしくはカテゴリー上の地域の「内部」と「外部」の間に、深くて通行不能な溝を掘ることです。外部とはつまり、嵐やハリケーン、冷たい突風、道端での奇襲、いたるところに溢れる危険のことであり、内部…

バウマン.Z『アイデンティティ』(5)

「社会」はもはや、人間の試練や過ちに対する、厳格で妥協のない、ときには厳しくて無慈悲であっても、公正で信念を持った審判であるとはみなされていません。それは、たとえチャンスを与えられても、可能な場合にはルールを鼻であしらう、とりわけ、人生と…

バウマン.Z『アイデンティティ』(4)

全体的に見ても、工場の集会所や構内はもはや、根本的な社会変化の望みを託すのに十分な在庫を確保してくれそうにありません。以前にも増して脆弱で不安定な資本主義的事業構造と雇用労働のルーティンが、その内部で、多様な社会的剥奪と不公正を(結びつけ…

バウマン.Z『アイデンティティ』(3)

自らの労働・資本集約的作業の大半をグローバル市場に委ねてしまった国家は、愛国的な熱情の備蓄を必要としなくなっています。近代国民国家の資産をぬかりなく監視していた愛国的な感情ですら、市場の力に譲歩せざるをえず、スポーツ興行主、ショービジネス…

バウマン.Z『アイデンティティ』(2)

アイデンティティは、一つの作業として、いまだ完遂されていない未完の作業として、声高な呼びかけ、義務や行動に駆り立てるものとして、はじめて、生活世界に組み入れられたのです。そして、発生期の近代国家は、その領土主権の範囲内のすべての人々に対し…

バウマン.Z『アイデンティティ』(1)

アイデンティティ作者: ジグムントバウマン,Zygmunt Bauman,伊藤茂出版社/メーカー: 日本経済評論社発売日: 2007/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (14件) を見るIdentity: Coversations With Benedetto Vecchi (Themes for …