2011-01-06から1日間の記事一覧

 中村春作他編『「訓読」論』(3)

同。 徂徠は、和訓顛倒の〈訓読〉を否定して、十分にこなれた「訳」を作ることを主張した。そのためには、中国語(唐話)の基礎的な素養が不可欠であるとするが、中国人がそれを味わうように読めなければならないと考えない。ポイントは、徹底した「看書」に…

 中村春作他編『「訓読」論』(2)

田尻祐一郎「〈訓読〉問題と古文辞学」より。 徂徠は、二重に「詩書礼楽」から隔てられている。一つは、空間的に日本にいることで、もう一つは、歴史的に古代から遠いことで。しかしそれは、それゆえにこそ、古代中国の「詩書礼楽」との距離を自覚し、その距…

 中村春作他編『続「訓読」論』(4)

齋藤希史「読誦のことば―雅言としての訓読」より。 文字の言語化は、日常言語によってなされたのではなく、こうした儀礼的ないし演技的性質をもつ音声言語との対応によってなされたと思われる。戦国期に見られる文字の多様な地域性もまた、それぞれの地域で…

 中村春作他編『続「訓読」論』(3)

市來津由彦「中国思想古典の文化象徴性と明治・大正・昭和」より。 文言文は、中国の統治に携わり、またそのことを望むいわゆる「士」の層において流通する。……文言を運用することは、士人層と庶人層との間に社会階層・身分区分がある中で「士」の世界に自身…

 中村春作他編『続「訓読」論』(2)

木津裕子「唐通事の『官話』受容」より。 琉球の通事は第一義的には琉球国王の臣下であった。しかし、その君臣の義を強く支えるのは、冊封国琉球の中に在って直接的に中華に連続すると見なされた。彼らの華人としての出自であった。琉球国内で確固たる地位を…

 中村春作他編『続「訓読」論』(1)

続「訓読」論 東アジア漢文世界の形成作者: 中村春作,市來津由彦,田尻祐一郎,前田勉出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2010/11/15メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る中村春作「『訓読』論から東アジア漢文文化形成を考える」…

 中村春作他編『「訓読」論』(1)

「訓読」論 東アジア漢文世界と日本語作者: 中村春作,陶徳民,高津孝,岩月純一,沼本克明,齋藤文俊,前田勉,齋藤希史,山東功,田尻祐一郎,加藤徹,小島毅,市來津由彦出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2008/09/25メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブ…